妊娠中のインフルエンザ予防・ワクチンについて解説【医師監修】

現在妊娠中の方で、

「インフルエンザワクチンは打っても大丈夫なの?」

「どのようにインフルエンザを予防したらいいの?」

と迷っている方はいらっしゃいませんか?

妊娠中は免疫力が下がり、インフルエンザに感染しやすく、症状が重くなりやすいといわれています。

インフルエンザをしっかりと予防することが大切です。

インフルエンザワクチンの妊婦さんと赤ちゃんへの危険性は、妊娠全期間を通して極めて低いため、希望した妊婦さんは予防接種を受けることができます。

今回の記事では、妊娠中のインフルエンザ予防について徹底解説していきます!

 

監修医師:新百合ケ丘病院
不妊専門医 原周一郎  

インフルエンザとは

インフルエンザとは、インフルエンザウイルスに感染して起こる感染症です。
感染すると、38度以上の発熱・頭痛・関節痛・筋肉痛などの症状が急激に起こります。
潜伏期間は、1~5日(平均2日)で、1週間ほどで治ります。

インフルエンザウイルスは寒くて乾燥した環境を好み、11月から4月、特に1月2月に流行のピークをむかえます。

インフルエンザの感染経路は、飛沫感染接触感染です。

飛沫感染とは
感染している人のくしゃみや咳で出るしぶきを吸い込むことによる感染。2メートル範囲内は感染する危険性が高い。
接触感染とは
感染している人のつばや鼻みずが手から手へ、あるいはドアノブやつり革などを介して手に付着することなどによる感染。ウイルスが付着した手で、口や鼻、目などの粘膜を触れることで感染する。

感染経路を考えて、インフルエンザを予防することが必要です。

インフルエンザの予防方法

インフルエンザワクチンでの予防

インフルエンザワクチンを打つことで、ある程度の発病を防ぐことができます。
(しかし100%予防はできず、ワクチンを接種してもインフルエンザに感染する場合があります。)

インフルエンザワクチンを打つと、インフルエンザに感染した場合でも、症状が重くなることを抑えられます。
接種してから抗体ができるまで2週間を必要とするため、防接種する場合はインフルエンザが流行する前に行うといいでしょう。

インフルエンザが流行している時の予防方法

(1)うがい、手洗いを徹底し、人混みを避けましょう。
(2)睡眠や食事で体調を整えましょう。
(3)乾燥するとインフルエンザにかかりやすくなるため、室内では加湿器の使用や、マスクを着用し喉や粘膜の乾燥を防ぎましょう。

※咳やくしゃみなどの症状がある方は、周りの方へうつさないためにマスクを着用するなどして、咳エチケットを守りましょう。

【参考】
厚生労働省/インフルエンザの基礎知識(https://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/file/dl/File01.pdf
東京都感染症情報センター/インフルエンザ流行状況(http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/flu/flu/

妊娠とインフルエンザについて

妊娠中は免疫機能が抑制されるため、インフルエンザに感染しやすく、感染すると症状が重くなりやすくなります。インフルエンザに感染することで赤ちゃんへの直接的な影響はありません。
しかし、症状が重くなってしまった場合、妊婦さんへの負担は大きいと思われます。また、重い症状により赤ちゃんに影響を及ぼす可能性があります。
予防する最も有用な手段は、インフルエンザワクチンの接種です。
赤ちゃんへの影響を心配される方がいますが、インフルエンザワクチンは、不活化ワクチンですので、妊娠予定、妊娠全期間、授乳中の接種ができます。

MEMO
不活化ワクチンとは、病原体となるウイルスや細菌の感染する能力を失わせたものを原料として作られたワクチンです。

ただし、ワクチン接種は義務ではなく、また極稀に強い副作用を引き起こし、重い後遺症を残すことがあるため、100%安全とはいえません。
そのため、効果とリスクを理解した上でご自身で希望する必要があります

妊娠中のインフルエンザワクチンQ&A

妊娠中のインフルエンザワクチンは、色々とわからないことが多いですよね。

代表的な質問にお答えしていきます!


いつ接種したらいいの?

流行が始まる前の10月〜11月を理想とします。

予防効果が期待できるのはいつから?

接種後2週間から、約5か月間持続します。

予防接種の回数は?

13歳以上の方は一回接種でも抗体上昇がみられるため、一回接種となっています。

副作用は?

接種箇所の症状や全身性の反応が起こる場合があります。また、稀にアナフィラキシーショックが起こる場合があります。

接種箇所の症状
赤み、はれ、痛み等があります。接種を受けられた方の10~20%に起こりますが、通常2~3日でなくなります。

全身性の反応
発熱、頭痛、寒気、だるさなどが見られます。接種を受けられた方の5~10%に起こり、通常2~3日でなくなります。

アナフィラキシーショック
稀ではありますが、アナフィラキシー様症状(発疹、じんましん、赤み、かゆみ、呼吸困難等)が見られることもあります。
アナフィラキシー様症状は、ワクチンに対するアレルギー反応で、接種後比較的すぐに起こることが多いことから、接種後30分間は接種した医療機関内で安静にしてください。
また、帰宅後に異常が認められた場合には、速やかに医師に連絡してください。

 

どこで接種出来るの?

かかりつけの産婦人科で接種出来る場合はかかりつけの産婦人科を受診しましょう。かかりつけの産婦人科で接種できない場合は、各市区町村のホームページや広報誌などで探しましょう。接種する時には母子手帳を持って行きましょう。

 

防腐剤(チメロサール)が入っていても接種していいの?

防腐剤(チメロサール)は胎児への影響はないとされており、接種することができます。

防腐剤としてチメロサールを含有している製剤としてない製剤(チメロサールフリー)があります。含んでる量は極少量で、赤ちゃんへの影響はないとされています。
チメロサールフリーを希望される理由として、
(1)過去にチメロサールありのもので接種部位の腫れや発赤、痛みがひどかった。
(2)アレルギー体質なので、念のためチメロサールなしを打っておきたい。
(3)妊娠している。
などが挙げられますが、チメロサールなしなら副反応はおこらないという保証はありません。また、チメロサールフリーのワクチンは製造に手間がかかるので、生産量が少なく、割高になります。

上記を踏まえ、接種できる状況で、妊婦さんが希望する場合にはチメロサールフリーのワクチンを接種できます。
接種できない(製剤入手まで時間がかかる)状況で、周囲でインフルエンザの流行がある場合にはチメロサール含有ワクチンを躊躇せず接種していいとされています。

 

卵アレルギーですが接種できますか?

卵を含む加工品を食べられる方なら基本的に接種はできますが、卵でアレルギー症状を経験したことのある方は、医師に相談してください。

ワクチンの製造過程においてわずかながら卵由来の成分が残存します。
これによる卵アレルギーの副作用が極稀に起こる可能性があります。
近年は高純度に精製されているのでほとんど問題となりませんが、重篤な卵アレルギーのある方(鶏卵、鶏卵が原材料に含まれている食品類 をアレルギーのために日常的に避けている方)は、 ワクチン接種をすすめずその他の予防方法や、感染した場合に速やかに医療機関を受診することが必要になります。

家族のインフルエンザ予防について

妊娠中は特に、同居する方にもインフルエンザ予防への協力が必要になります。
インフルエンザワクチンの優先接種対象者と接種回数は下記の通りです。

<優先接種対象者> 接種回数
・妊婦の方 1回接種
・基礎疾患を有する方 1回接種
・13歳未満の方 2回接種
・中学生、高校生の年齢にあたる方 1回接種
・65歳以上の方 1回接種

1歳未満の乳児の予防接種について

生後6カ月より接種はできますが、1歳未満の乳児へのワクチンの効果は証明されていません。
そのため、乳幼児の周囲にいるご両親、ご兄弟、祖父母の方が接種することをおすすめします。

インフルエンザに感染してしまったら?

「インフルエンザかも?」と思ったら、早めに医療機関を受診しましょう。

妊娠中はどこの病院を受診したらいいのか

かかりつけの産婦人科は避け、 地域の一般病院へ予め連絡してから受診するようにしましょう。
産婦人科へ受診してしまうと他の妊婦さんへうつしてしまう可能性があります。

※どこを受診したら良いかわからないときは、都道府県のインフルエンザ相談窓口や地域の発熱相談センター、住んでいる地域の保健所などに連絡しましょう。

しかし、
・一般病院へ受診が出来ない

切迫流早産の徴候(いつもと違うおなかの張り、 下腹部痛、性器出血・破水感)がある

場合は、かかりつけの産婦人科を受診するようにしましょう。

MEMO

受診する前は、かかりつけの産婦人科へ電話をしましょう。
電話をすることで、他の妊婦さんへの感染を防ぐ事が出来ます。
また、受診するときは、 ガーゼではない不織布性マスクをつけて他の患者さんにうつさないように気を付けましょう。
迷った場合には、かかりつけの産婦人科へ電話で相談をしましょう。

インフルエンザの治療方法

抗インフルエンザ薬としてザナミビル(リレンザ®:吸入薬)、ラニナミビル(イナビル®:吸入薬)オセルタミビル(タミフル®:内服薬)などが使用できます。
発症から48時間以内に服用開始することで、発熱期間は1〜2日間短縮でき、症状の悪化を予防することができます。

妊娠中に家族が感染した場合

抗インフルエンザ薬の予防投与が可能です。

インフルエンザ患者と濃厚接触した場合のリレンザ®またはタミフル®投与は70〜90%の予防効果があります。
症状が悪化しやすい妊婦さんに対しては予防投与がすすめられています。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

妊娠中は、インフルエンザにかかりやすく、また症状が重くなりやすいです。
感染や症状の悪化の予防としてインフルエンザワクチンは有効です。
インフルエンザワクチンは、妊娠予定、妊娠全期間、授乳中の接種ができます。

しかし、予防接種は100%安全が保障できずリスクも発生することがありますので、効能とリスクを理解した上で自己判断することが必要になります。

手洗い・うがいといった基本的な予防もしっかりと行い、自分と赤ちゃんの身体を守るようにしましょう。

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