妊娠中に注意が必要な食品まとめ【チーズ・生肉・お寿司・うなぎ・ひじき・生卵】

妊娠中は、妊娠前には当たり前に食べていたものが、赤ちゃんに影響はないのか心配になりますよね。
「お寿司は食べちゃダメ」
「うなぎは食べちゃダメ」
などとよく聞きますが、本当のところはどうなのでしょうか?

ストレス少なく安心した妊娠生活が送れるように、今回の記事では、妊娠中の「食事」に関する疑問を解決していきたいと思います。
今回は、以下の食品を取り上げていきます!

  • 生肉
  • お寿司
  • ひじき
  • 昆布
  • うなぎ
  • チーズ
  • 生卵

☆現役助産師☆なっちゃん

妊娠中にオススメの飲み物を知っておきたい方はこちらの記事も合わせてご覧ください♪
妊娠中にカフェインは飲んでも大丈夫?安心して飲める飲み物は?【おすすめの飲み物も紹介】

生肉は食べていい?

 

トキソプラズマに感染する可能性があるので、生肉は禁止です

トキソプラズマには注意が必要!

生肉には、トキソプラズマという原虫が潜んでいる可能性があります。お肉はしっかり火を通してから食べましょう。また、ローストビーフや生ハムなど加熱処置されていない食品も禁止です。

実は、お肉の他にも猫の糞や土などに潜んでいることもあるんです!!
妊娠中は、猫との接触も気をつけてください。また、生野菜はしっかり洗い土を良く落としてから食べるようにしましょう♪

池上奈津美

赤ちゃんへの影響

妊娠中に初めて母親が感染した場合、ほとんど無症状ですが、胎盤を経由して赤ちゃんが感染することがあります。
感染すると、流産・死産の危険があり、生まれてくる赤ちゃんに障がいが起きることもあります。

参考 トキソプラズマと母子感染公益社団法人日本産婦人科医会

チーズは食べていい?

リステリア菌の観点から注意が必要です。
加熱されているチーズか、プロセスチーズと表記されているチーズであれば安心して食べることができます。
ナチュラルチーズは加熱加工がされていないチーズなので食べない方が安心です。

チーズには、

  • プロセスチーズ」…加熱加工されている
  • ナチュラルチーズ」…加熱加工されていない

があります。

食べて大丈夫なチーズ

プロセスチーズは妊娠中であっても食べて大丈夫なチーズです。
原料はナチュラルチーズで、加熱加工されているチーズです。
代表的なプロセスチーズは以下になります!

  • スライスチーズ
  • 6Pチーズ
  • キャンディーチーズ
  • ベビーチーズ
  • スモークチーズ
買う時は、パッケージの種類別が「プロセスチーズ」のものをチェックすると安心ですね♪

池上奈津美

また、加熱加工されていない「ナチュラルチーズ」でも、加熱されたチーズであれば食べて大丈夫です。
食中毒予防としての加熱の目安は、「中心部の温度を75℃以上で1分以上」といわれています。

食べてはいけないチーズ

ナチュラルチーズは妊娠中は食べないほうがいいとされています。
ミルクを固めて発酵熟成させたもので、加熱加工されていません。
代表的なナチュラルチーズは以下になります!

  • フレッシュチーズ(モッツァレラ)
  • 白カビチーズ(カマンベール)
  • 青カビチーズ(ゴルゴンゾーラ)
  • セミハードチーズ(ゴーダ、チェダー)
注意
ディップ用のソースやドレッシング、レアチーズケーキ、ティラミスなどの料理には、ナチュラルチーズを未加熱のまま使っている場合もあるので気をつけましょう。
参考 チーズの分類世界チーズ商会株式会社

上記の「食べていいチーズ」「たべないほうがいいチーズ」を表にまとめてみました↓

食べていい 食べないほうがいい
種類別 プロセスチーズ ナチュラルチーズ
特徴 原料はナチュラルチーズで、加熱加工されている。 ミルクを固めて発酵熟成させたもので、加熱加工されていない。
代表的なチーズ ・スライスチーズ
・6Pチーズ
・キャンディーチーズ
・ベビーチーズ
・スモークチーズ
・フレッシュチーズ
・白カビチーズ
・青カビチーズ
・セミハードチーズ
注意 中心部の温度を75℃以上で1分以上加熱していれば食べて大丈夫です。

リステリア菌はどうやって予防する?

食中毒の原因菌で、妊娠中は感染しやすいため注意が必要です。
例えば、

  • ナチュラルチーズ(加熱殺菌していないもの)
  • 肉や魚のパテ・生ハム(食肉加工品)
  • スモークサーモン(魚介類加工品)

などは避けた方がいい食品になります。

妊婦さんが感染すると、流産や生まれた赤ちゃんに影響が出ることがあります

◆家庭での予防方法
・生野菜や果物などは食べる前によく洗う。
・期限内に食べるようにする。
・開封後は、期限に関わらず速やかに消費する。
・冷蔵庫を過信しない。
・冷蔵庫で保存する。
・加熱してから食べる。
これらの予防法は、その他の食中毒の予防にも有効です。

出典:厚生労働省HP(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055260.html

お寿司は食べていい?

水銀の観点からお魚の種類と量」と、「食中毒」に注意すれば食べて大丈夫です。

水銀について

大きな魚には水銀が多く含まれております。
お腹の中の赤ちゃんは水銀を身体の外に出すことができず、水銀はお腹の中の赤ちゃんの発達に影響を与えますので、食べ過ぎには注意が必要です。

MEMO
注意が必要なお魚の摂取量の目安
週に1回(80g)食べていいお魚
キンメダイ、ツチクジラ、メカジキ、クロマグロ(本マグロ)、メバチ(メバチマグロ)、マッコウクジラ
週に2回(1回80g)を食べていいお魚
キダイ、マカジキ、ユメカサゴ、ミナミマグロ(インドマグロ)、ヨシキリザメ、イシイルカ
※80gは、刺身1人前・切身1切れ程度です。
※摂取量一覧表は厚生労働省HP:これからママになるあなたへ参照

つまり!
水銀が含まれている可能性のある大きなお魚でも、切身一皿程度(約80g)を週に1回であれば食べてもいいとされています。

助産師なっちゃんん

家庭ではあまり食べない種類のお魚が多いですが、お寿司屋さんなどお店で食べる時には種類と量に気をつけましょう!お寿司屋さんのマグロは、だいたいメバチマグロかキハダマグロで、本マグロは”本マグロ”と記載していることが多いです。
1貫8〜10gなので、、、8貫以上食べなければ大丈夫という計算になりますね(笑)

食中毒について

お寿司や刺身など生魚を食べる時には鮮度の良いものを選び、食中毒に注意しましょう。
魚介類にはアニサキスという食中毒の原因となる幼虫が含まれている可能性があります。

参考 アニサキスによる食中毒を予防しましょう厚生労働省

助産師なっちゃん

お寿司ってたまに食べたくなりますよね!!
妊娠中は免疫が下がるので食中毒にもかかりやすと言われているので、たま〜に食べるくらいがちょうどいいと思います♪
もちろん、心配という方は産後の楽しみにとっておくのもいいですね♪

ひじきは食べていい?

ヒ素の観点から注意が必要とされていますが、食べすぎなければ大丈夫です。

海藻にはヒ素が含まれていて、ひじきは含有量が多いから気を付けましょうと記載しているものもあります。
しかし、たまに小鉢一杯食べたところで影響が出るとは考えにくく、連日食べるなどの偏りがなければ大丈夫です。

参考 ヒジキ中のヒ素に関するQ&A厚生労働省 参考 より安全に食べるために家庭でできるヒジキの調理法農林水産省

昆布は食べていい?

ヨウ素の観点から注意が必要ですが、食べすぎなければ大丈夫です。

ヨウ素は甲状腺ホルモンを構成します。ヨウ素を多く摂りすぎると、お腹の中の赤ちゃんの甲状腺機能を低下させてしまいます。
ヨウ素が不足すると、発育不全や精神発達遅滞などが起こりやすいですが、一般的な日本人の食生活で不足することはないと言われています。

昆布にはヨウ素が多く含まれています。「日本人の食事摂取基準2020年版(厚生労働省)」P335より、過剰摂取を控えるために耐用上限量を2,000μgと記載されていますが、偏りなくバランスの良い食事を心がけていれば大丈夫です。
ただし、市販のめんつゆや昆布だし、カップ麺、昆布の佃煮など昆布エキスが多く含まれた食品には注意が必要です。

また、イソジンなどヨウ素を含むうがい液の常用は控えましょう。

助産師なっちゃん

日常的に昆布だけのだしを多く使う方は、合わせだしやカツオだしを使ってお料理をしてみましょう♪佃煮や昆布巻きはたまに食べるくらいであれば大丈夫です!外食で昆布だしのうどんのつゆなど、美味しいのですが、飲み干さないようにしましょう♪

うなぎは食べていい?

ビタミンAの観点から、妊娠を希望している方や妊娠3か月以内の方は食べる量に注意する必要がありますが、週に1回程度であれ大丈夫です。

うなぎにはビタミンA(動物性)が多く含まれています。妊娠3か月以内にビタミンA(動物性)を過剰摂取すると胎児奇形の危険があります。
「日本人の食事摂取基準2020年版(厚生労働省)」P176より、非妊時と同じ耐容上限量(過剰摂取による健康障害が発生するリスクがゼロではなくなることを示す値)は2700μgRAE/日と示されています。推奨量は650〜780μgRAE/日(年齢や妊娠時期で異なる)と示されています。
うなぎの蒲焼きは1500μg/100gと成っており、お店で提供されているうなぎの量はだいたい70-100gといわれています。

厚生労働省の値は習慣的なものですので、週単位で時々うなぎを食べるのであれば問題ありません。

ビタミンA(動物性)が多く含まれている食品には、他にも鳥レバー豚レバー銀だら穴子ホタルイカがあります。

助産師なっちゃん

たまにうなぎ丼を食べるくらいであれば過剰摂取にはなりませんので大丈夫です♪心配な方は妊娠3か月以降に食べると安心です。

生卵は食べていい?

生卵を食べることで、サルモネラ菌による食中毒の可能性があり、妊娠中は免疫力が低下して感染しやすい状態ですので、注意が必要とされています。

感染した場合、妊婦は嘔吐や下痢、腹痛などの症状がありますが、サルモネラ菌が直接胎児に影響をもたらすことはなく、絶対に食べていけないということはありません。

参考 卵の衛生的な取り扱いについて公益社団法人日本食品衛生協会

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回の「妊娠中の食事」のポイントをおさらいしましょう!

  • 生肉や加熱処理されていない食品(生ハムやチーズなど)は避ける
  • ひじき、昆布、うなぎは常識的な範囲内で食べるのは問題ない
  • 生魚や生卵は食中毒の観点から注意が必要です
  • 水銀が多く含まれるとされる大きなお魚は、切身一皿程度(約80g)を週に1回であれば問題ない

ポイントをおさえれば妊娠中に制限されることはそんなに多くありません。

助産師なっちゃん

妊娠中は、色々と不安になってしまうことも多いと思います。「大丈夫」な量を知ることで、安心した妊娠生活がおくれると良いですね!

また、今回紹介したこと以外にも、こちらの記事では様々な疑問について解説していますので、合わせてご覧いただけますと幸いです。
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